建物の耐用年数を把握する

物件の選定

不動産物件を投資のツールとして活用する以上、物件に関する情報収集や知識は欠かすことができません。その中でも、不動産の価値を左右する建物の「耐用年数」について、しっかりとポイントを押さえて理解しておきましょう。

不動産投資に関わりがある耐用年数について

おしゃれなマンション

不動産物件に関係する様々な専門用語がありますが、耐用年数というワードに聞き覚えがある方は多いでしょう。不動産物件の価値は、面積や構造だけでなく耐用年数によって評価されています。評価の基準となるポイントや、基本をしっかりと理解して不動産投資に役立てましょう。

耐用年数とは?

耐用年数は、建物の使用可能年数と考えて良いでしょう。資産価値の高い不動産を見極めるには、耐用年数の選び方が重要なポイントになります。建物に使用されている素材や、構造によって耐用年数の算出方法が変わってきますが、長期間のローンを組みたいのであれば、耐用年数の長い不動産物件を選びましょう。また、不動産物件の選び方次第で、金融機関からの融資が決まるということも把握しておかなければなりません。耐用年数が残りすくない、もしくは過ぎている不動産物件は、資産価値が低いとみなされ、融資の回収が難しいと判断されます。また、融資の申請が通っても通常より短い期間で借り入れ金を返済していくことになります。ですが、不動産物件における耐用年数は、あくまで税務上定められたものにすぎず、実際には長い期間使用できる物件も数多くあります。いずれにしても、建物の選び方の1つとして覚えておけば役立ちます。

耐用年数の決め手は建物の構造と素材

不動産物件の耐用年数を決めるには、建物の構や素材が関係しています。建物には、木造建築から鉄筋コンクリート構造まで様々ですが、それぞれの耐用年数を把握しておけば、よりよい不動産物件を選ぶことができます。

建物の耐用年数~住宅用~

鉄骨造(S造)

鋼板を冷間圧延加工して製造した素材で、厚さが6mm以下が軽量鉄骨、6mm以上が重量鉄骨を分類されています。よって、両者で耐用年数が異なってきます。
・軽量鉄骨造の耐用年数 (27年)
・重量鉄骨造の耐用年数 (34年)

木造(W造)

日本古来より取り入れられている、代表的な建築構造の1つです。主要部材にスギやヒノキなど、木材を使用して造られています。サイディング貼やモルタル塗りなど、工法の違いで耐用年数が変わります。

・サイディング貼木造の耐用年数  (22年)
・モルタル塗り木造の耐用年数   (20年)

鉄筋コンクリート造(RC造)

コンクリートを用いて造る建物の補強として、鉄線を埋め込む構造です。使用する鉄線は、熱間圧延棒鋼と再生棒鋼と2種類があり、2つを掛け合わせることで圧縮力と引張力を高めています。

・鉄筋コンクリート造の耐用年数 (47年)

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)

鉄筋コンクリートと鉄骨を組み合わせた、建築構造の中では最も強固な構造となっていて、高層マンションの建設や自然災害の影響を受けやすい地域で活用されています。RC造と同等の耐用年数となっています。

・鉄骨鉄筋コンクリート造の耐用年数 (47年)

番外編 石造

コンクリートブロックや、レンガを積み重ねて組み立てた建物です。日本では、明治初期頃に伝わった工法ですが、現代では鉄筋やその他の素材による補強がされており、建物の一部のみの使用が一般的です。
・石造の耐用年数   (38年)

「防水床外装窓構造体」が建物の耐用年数を決める

建物の耐用年数は構造や、組成部分ごとの加重により算出されています。固定資産の耐用年数等に関する省令によれば、住宅や店舗などの不動産物件は、防水・床・外装・窓・構造体の5つの要素で判断されています。ですが、現在の日本では、新規物件が好まれる傾向にあり、残在年数がるにも関わらず取壊されるケースも多々あります。不動産物件の購入前には、耐用年数の算出を行ない、修繕や建物の維持にかかる費用を考える必要があるでしょう。

家賃収入が期待できる不動産物件の選び方

間取りイメージ

不動産投資で安定した収益を得るには、賃貸物件として貸し出す方が効率が良いと考えられます。では、安定した家賃収入を得るには、どのような不動産物件の選び方を行なえばいいのでしょうか?構造別に考えてみましょう。

賃貸物件とライフサイクルコスト

一般的な住宅に用いられる構造の寿命は、SRC造が最も高く続いてRC造、木造と言われています。安定した家賃収入を得ることが目的なら、SRC造やRC造が第一候補にあがりますが、利回りがいい物件であれば、木造やS造でも良いということになります。つまり、建物にかかるライフサイクルコスト(保守点検、維持管理費、税金等)のバランスを自分の理想と当てはめた選び方が大事なのです。

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)

建物の構造としては最も強固となるため、ライフサイクルコストが高くなる傾向にあります。ですが耐用年数が長いため、融資の際は長期的なローンが組める傾向にあります。

鉄筋コンクリート造(RC造)

建物本体に加えて、設備面が充実していることが多く、賃貸物件として選んだ場合の入居率は、比較的安定すると考えられます。構造が強固なので、長期的な不動産投資には向いています。

木造(W造)

建設や修繕にかかるコストが安く、建物の規模自体も比較的小さいことが多いので、管理や維持に伴う出費も抑えることができます。建物が老朽化した場合、解体して土地を売却する方法もあります。

番外編 石造

修繕を行なえる職人や、建材の入手が困難なことも予想されるため、状態によってはライフサイクルコストが高くなると思われます。ですが、中古物件や古民家の人気が高まっているので、一定層の需要は見込めます。

耐用年数の長さと、ライフサイクルコストのバランスを考えることが、家賃収入を得る際のポイントになります。不動産物件の選び方は様々ですが、耐用年数と不動産物件の関わりをセットで考えておくと、結果として入居率の高い収益物件として運用できるはずです。

耐用年数と法律の関係

耐用年数の長さは、不動産物件の構造や組成部分によって異なると説明しましたが、公平に算出できるように法律によって規定が定められています。しかし、技術の進歩により建物の寿命は、従来に比べても延びていると考えられています。

法定耐用年数の改正の動き

法律により、耐用年数は構造や組成部分ごとの定めがあるとはいえ、技術面の進歩や定期的な修繕により、建物の寿命を延ばすことができます。また、経済不況のあおりで、新築物件の建設数が伸び悩みの傾向にあることから、法定耐用年数の改正が検討される動きがあります。法定耐用年数の改正が行われると、築年数が長い物件も融資の申請が有利になる可能性がでてきます。

法定耐用年数と減価償却費

法定耐用年数と合わせて、覚えておくべき言葉の1つに「減価償却費」があります。長期的な使用が見込める不動産物件や機械は、経過年数や劣化と共に購入時よりも資産価値が減少していきます。この減少する部分が先ほどの減価償却費となります。減価償却費の計上の仕方は、定額法と定率法の2つがあり、経費として早期で計上したい場合は定率法が良いです。なお、個人で定率法を選択する際は、所定の税務署に届けでることが必要です。

定額法:毎年同じ額を減価償却する方法です。毎年の納税額を、一定に保ちたい方向け

定率法:毎年同じ率を減価償却する方法です。初年度の納税額が高くなりますがその後は低減

不動産投資の大事なポイント~耐用年数のまとめ~

不動産投資を行なう上で重要なことは、利益を生み出す物件を選べるかどうかにあります。それを見極めるためには、建物の耐用年数を把握しておくことがポイントになりますし、構造や組成部分による違いを理解する必要もあります。それを踏まえた上で、自分の予算やイメージに合った不動産物件購入するのが理想的な流れとなります。